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今日も、明日も、明後日も……エンジニアって本当に残業が多い。でも、待てよ。なぜ、同期のアイツがいつも「お先に失礼」なんだ? 年齢も年収も1.5倍多い部長が20時に帰れるんだ? ひょっとして、退社時間によって人の特徴が違うんじゃないか? そうです、生態が違うんです。やっと気がつきましたか。
(取材・文/総研スタッフ 高橋マサシ イラスト/滝沢 徹) 作成日:03.10.08
「先月は100時間超えちゃったよ」なんて会話も珍しくないエンジニアの残業。ただ、「人により残業時間が違うのは解せない」と不満に思う方が多くいます。今回は300人のアンケートから、エンジニアと残業の関係を掘り下げていきます。
「アイツもオレも帰れない! 恐怖のブーイング会社の実態」は
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Part1
こんなに違う! 退社時間別エンジニアの生態
いつも定時に帰る人、周りを気にして残る人、徹夜続きで苦しむ人……。300人の本音から、退社時間別のエンジニアの実態を読み解くことに成功。世界初? のエンジニア残業生態図鑑の完成だ! どうです、あなたの会社の誰かさんに似ていませんか?
【我知らぬ類 仕事無理科】
年齢と役職
20代前半の平社員(53.3%)/50歳以上の取締役(19.3%)
仕事量
少ない
スキルレベル
下〜よくて平均
性質
責任感がなく、公私を分ける一匹狼的な行動を取る(計82.3%)
2種類が存在する。外観は親と子ほど異なるが、低いスキルと協調性不足が共通の行動特性だ。アンケート回答者の意見から浮かび上がる像は、「周囲の嫌われ者」。とはいえ、「見習いたい」などの感想もあった。潜在的な繁殖率は高いかも
【回答者からのご意見】
「このごくつぶし、早くリストラされろ!」
(半導体設計:29歳)
「君、必要ないよ。いなくなれば増員してもらえるから、辞めて」
(運用・監視:33歳)
「時代の先端を走ってる。風当たりは強いがガンバレ!」
(技術開発:37歳)
【通年程程類 周囲気にする科】
年齢と役職
30歳前後の平社員〜主任クラス(60%)
仕事量
平均
スキルレベル
平均
性質
目立った特徴はない。あらゆる性質が平均的に分布
特性が見つからない、没個性的な種である。役職で課長クラス、年齢で30代後半も多く属しており、すべての面での平均像とも呼べる。この種に対する批判的な声が少ないのが、唯一の特徴。ある意味、ジャパネスク。
【回答者からのご意見】
「ホドホドが一番ですよね」
(SE:31歳)
←このコメント、すごく多かったです
「まだ仕事やってる人がいるのに、後ろ髪引かれないか?」
(SE:27歳)
「ペースを落として帰る時間を皆に合わせる。まさに私です」
(マイコン開発:25歳)
【技術頑張類 仕事好き科】
年齢と役職
30代半ばの主任〜課長クラス(64.3%)
仕事量
平均よりもちょっと多い
スキルレベル
平均よりも上
性質
仕事を抱え込む熱血漢であり、親分肌的な性向を持つ(計66.7%)
仕事の量もスキルも人並み以上だが、残業時間も人並み以上。役職も年齢も人並み以上? 「ホドホド平凡狸」の進化系とも考えられる。回答者からは手厳しい意見が多く、彼らの自意識との乖離が気になるところ。
【回答者からのご意見】
「適度な残業代が稼げてうらやましい」
(SE:36歳)
「平均的とはいえ、残業多いよね。もっと減らしたいよね」
(回路設計:32歳)
「あんたが残るから周りが帰りづらいんだよ」
(SE:27歳)
【何故常残類 行動無駄科】
年齢と役職
30代半ばの主任クラス(43.3%)
仕事量
多い
スキルレベル
平均より上と下に二極化
性質
仕事を投げ出せない熱血漢だが、本当は気が弱い(計63.7%)
「ヤルヤル情熱獣」に比べて年齢も役職も低く、最も割に合わない種と呼べる。夜行性で、他種とのあつれきを避ける傾向が強い。スキルのないエセタイプの混在が特徴。同僚はその判別を簡単に行うが、上司には困難である。
【回答者からのご意見】
「小さいお子さんたちが『パパが遅い』って毎晩泣いてるんでしょ。週1度くらい帰ったら?」
(半導体設計:30歳)
「だらだら遅くまでいる人は、はっきりいって邪魔!」
(SE:36歳)
「ひとりで苦しむことないですよ。営業にいうなら味方になりますよ」
(医療関連:25歳)
Part2
世界初? エンジニアの残業偏在を大暴露
アンケートでは、回答者自身の退社時間も尋ねている。詳細は以下のグラフを見ていただくとして、ここで確認したいことがある。彼らが「アンケート回答者である」という前提だ。終電車とタイムラップを競うような残業ヘビーユーザーが、面倒くさいアンケートに答えるだろうか。それを加味して、以下をどうぞ!
平均退社時間23時以降は300人中たった10人
ほぼ7割の人が21時前に退社。これは早いのか、遅いのか? 「平均退社時間」であることを考えると、「そりゃ早く帰れる日もあるし」となる。この判断はユーザーの皆さんにお任せしたい。
気になるのは、職種分布だ。退社時間が遅くなるに従って、「ソフト系職種」がじわりじわりと勢力を伸ばしてくる。時間に従って残業者を減らす「その他の技術職」(素材、バイオ、セールス、施工など)とは対照的だ。
平均退社時間が23時以降の人は、以外にも300人中、たったの10人だった。前述のように、「本当に忙しく残業している人はアンケートに答えるヒマがない」というバイアスがあるのだろう。この10人は年齢、職種、役職、年収などでほとんど共通点はなかったが、ただひとつだけ見つかった。コメントの書き方の峻烈さと、皮肉さだ。例えば、以下である。
「新婚早々家庭崩壊なんて冗談じゃない」「早く帰れる人はいいね!」「もうこんな会社辞めましょ」「しごとをいろ!!(原文ママ)」「17時まで待ってるんだったら早退しろよ!」……。
人事が語る「エンジニアはブラックリストに載らない」
同じ残業でも、仕事が終わらない必然的な残業と、それ以外の理由による意図的な残業に分けられる。後者のタイプに多いのはつき合い残業や、残業代欲しさの居残りである。この「必然」と「意図」の差を、人事は見抜いているのだろうか。社内情報システム部にSEを数多く抱える、大手情報サービス会社を例に見ていこう。
残業時間とPMへのヒアリングから個人を判断
社員の残業時間は把握できますが、本当に終わらなくて残っているのか、いわゆるだらだら残業なのかは、直接はわかりません。なぜなら、現場を知らないからです。ですから、PM(プロジェクトマネジャー)を通して見ています。プロジェクトの状況や進捗を聞いて、直接人を見れば、働いている人とそうでない人かはわかります。
大手情報サービス会社
人事担当者
佐藤 学氏(仮名)
ただ、人事としては1人日いくらという固定費で計算していて、支払うお金は変わりませんから、残業時間はさほど気にしないんです。確かに、「こいつにはムダな給料払ってるな」と感じる人もいないではないですが、個人の査定は、PMなり管理職の仕事です。
ひとりで抱え込まず、倒れる前に相談してほしい
人事は「残業の質」を判断できるか?
●現場を知らないので直接はわからない
●PMとの連絡から個人の状況を察する
●エンジニアの場合は現場にお任せが多い
●だらだら残業を無理に調べたりしない
弊社の話ですが、いわゆるダメ社員のブラックリストに載る社員は、技術職にはいません。これは手前みそではないですよ。淘汰されるからです。残業を含めて一生懸命仕事をする人の多くは、次のよりよい仕事を求めています。ですから、効率もスキルも上がる。逆にだらだらと残業を続ける人は、成長できない。すると、後者は人気がなくなって、仕事にアサインされなくなるわけです。
エンジニアに望むことですか? 「倒れないでくれ」です。変な言い方ですが、結局最後はドタバタします。カットオーバー直前の3日は徹夜なんて、珍しくありません。だったら、できないものはできないと、早めに伝えてほしい。力不足かもしれませんが、多少は待遇を変えられるかもしれないじゃないですか。
Part3
エンジニア300人が教える「残業を逃げる口実」
エンジニアはどのくらいの頻度で残業を断っているのか。そもそも、残業を断ることなどできるのか。これら質問の答えは、意外なものだった。Part2で説明した「バイアス」のせいかもしれないけれど……どう思います?
残業要請はこうやって切り抜けろ!
■妻が、子が、親が、○○なんです!■
「子供が急に熱を出して倒れちゃったんです」
(回路設計:33歳:3〜4回/月)
「祖母の具合が悪くて……」
(半導体設計:30歳:3〜4回/月)
「嫁が記念日だなんだとうるさいんですよ」
(医療関係:30歳:3〜4回/月)
■今日はちょっと、△△でして……■
「発送に荷物をトラック便業者に持ち込むので」
(機械設計:33歳:1〜2回/月)
「デートの約束があって、電車の時間が……」
(制御設計:28歳:5〜6回/月)
「人生で選択しなくてはならないことがあります」
(SE:31歳:3〜4回/月)
■うぅ、イテテテ、××の具合が悪いなぁ■
「体調悪いから帰らして!(関西弁)」
(生産技術:36歳:3〜4回/月)
「頭痛がするので休ませてください」
(SE:34歳:1〜2回/月)
「歯が痛むので歯医者を予約しました」
(SE:39歳:1〜2回/月)
■え、こんなことしていいんですか?■
「無言で机にうつぶせる」
(設計・積算:37歳:0回/月)
「残業代を払ってもらえるなら残ります。誓約書に書いてください」
(サポート:25歳:9回以上/月)
「断ったことがないのでわかりません」
(SE:33歳:0回/月)
エンジニアは気軽に残業回避ができる?
驚いてはいけない。アンケートでは、残業を断るのに成功したセリフと、失敗したセリフを聞いたのだが、「失敗したことがない」と答えた人が241人もいたのだ。実に8割のエンジニアが、何らかの理由をつけて、残業を断って帰っているわけだ。
しかもその半分以上が、「特になし」「帰ります」「お先に」など、何の工夫も努力もないフレーズ。こりゃ理由ではない。おまけに、300人中42人が、月に9回以上残業を断っているという。エンジニアの残業神話(?)は終わったのか?
それでもこれでも、残業は続いていく
世の中の動きは全く逆だ。厚生労働省の発表では、所定外労働時間(残業時間)は毎月上がり続け、2002年の過労死は過去最多の160件(SEなど専門技術職は41件)となり、サービス残業隠しの悪質化に警鐘を鳴らし始めている。
つまり、残業時間が多くなる要素はあっても、軽減の理由はなかなか見つからないのだ。ひょっとしたら、エンジニアの残業生態系が、変化しつつあるのかもしれない。ノーテンキ早帰人の多くは絶滅し、モーダメ夜行猿が繁殖を極めているのかも。まさか、そんな……
皆さんの生態は、どうなっていますか?
高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
残業、イヤですねぇ。午後9時に帰るのを早いと感じる人は少なくないと思いますが、定時が午後6時として3時間、午後5時なら4時間も余分に会社に残っているわけです。十分働きすぎですよ。
今回の調査では、エンジニアと残業の関係に、もう一歩突っ込めなかった気がしています。不完全燃焼です。そこでご提案なのですが、第2弾を作りませんか? 皆さんの残業に対する熱い思い、お聞かせください!
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古い!! 100年前の話だね。
……(無言)
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