発泡酒10〜20円増税へ
自民党税制調査会は1日、2003年度税制改正で発泡酒とたばこの税率を引き上げる方向で検討に入った。来年度の先行減税の財源を確保することが主な狙いで、発泡酒(麦芽比率25%未満)は1缶(350ミリ・リットル入り)10―20円、たばこは1本当たり2円程度の増税を軸に調整を進める。
しかし、ビール業界とたばこ業界は増税に激しく抵抗しており、調整は最後まで難航しそうだ。
政府は来年度の先行減税の規模を1兆5000億―2兆円程度とする方向で検討を進めているが、その前提として、今後5年程度の増減税額を同じにする「多年度税収中立」の枠組みを掲げている。減税項目としては、研究開発関連などの企業向け減税や、デフレ脱却を図るための土地・証券税制の軽減などが固まっており、党税調は財源として発泡酒とたばこの税率引き上げが不可欠だと判断した。
現行では、発泡酒にかかる酒税の税率は1缶当たり約36円で、ビールの約77円に比べると半分以下の水準となっている。財務省は「発泡酒とビールは同種同等のもの」(幹部)として発泡酒の税率をビール並みに引き上げることを求めている。
党税調は「一気に税率をそろえると影響が大きい」(幹部)として、来年度は、1缶当たり約40円の税率格差を20―30円程度に縮小する方向で調整を始めた。仮に1缶当たり20円増税すれば、おおむね1000億円の税収増となる。
一方、現行のたばこ税は紙巻きたばこ1本当たり約7円、1箱(20本入り)では約141円で、イギリス(1箱約532円)やアメリカ(同約450円=ニューヨーク市)に比べて大幅に低い。たばこが健康や環境に悪影響を及ぼしているとの指摘も強く、「たばこ増税は理解が得られやすい」(閣僚経験者)との声が広がっている。
このため、党税調は1本当たり2円程度の増税を軸に検討することになった。実現すれば約4000億円の税収増につながる。
(12月2日03:05)
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